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フラペンで1日歴史店長!日本橋の歴史を語る夜

2026年06月24日

カテゴリー:その他

フラペンで1日歴史店長!日本橋の歴史を語る夜

東京・日本橋のBAR「THE FLYING PENGUINS(フラペン)」で開催された「日本橋を散策しNight」にて、1日歴史店長を務めました。雨天のため街歩きは中止となりましたが、高島屋や山本山、日本橋魚河岸跡などの歴史を紹介しながら、参加者の皆さまと歴史を楽しむ夜となりました。当日の様子と、日本橋に刻まれた江戸の歴史をご紹介します。

日本橋を散策しNight

2026年6月20日、東京・日本橋にあるBARTHE FLYING PENGUINS(通称:フラペン)にて、1日歴史店長を務めさせていただきました。

今回のイベントタイトルは

「日本橋を散策しNight ~老舗や神々の史跡巡り~」

日本橋の街を実際に歩きながら、その土地に刻まれた歴史や文化を学び、その後はBARで交流を楽しむという企画です。

結果として当日はあいにくの大雨となり、予定していた街歩きツアーは中止となってしまいました。しかし、だからこそ生まれた盛り上がりもあり、とても印象深い一日となりました。

 

イベント参加のきっかけ

今回のお話しは、歴史会の会員さんからのご紹介で、株式会社ヒストリンクの代表である齊藤太一さんを紹介していただいたご縁からでした。

株式会社ヒストリンクは「歴史をもっと身近に、もっと面白く」をテーマに、歴史コンテンツの企画やイベント運営、地域活性化などに取り組まれている会社です。代表の齊藤さんは歴史愛好家としても知られ、特に南北朝時代の魅力発信に力を入れておられます。

ご紹介をきっかけに交流が始まり、

「何か一緒に面白いことをやりませんか?」

というお話をいただきました。

その後、齊藤さんやフラペンの運営の皆さまと何度も打ち合わせを重ね、今回のイベント開催へとつながりました。

歴史会としても、普段とは少し違う場所で歴史を語る機会です。BARという空間で歴史を楽しむ。

それだけでも非常に面白い挑戦になると感じていました。

 

日本橋の歴史を深掘りする準備

イベントでは、約1時間の日本橋歴史ツアーを実施し、その後BARに戻って交流会と歴史クイズ大会を行う予定でした。

そこでまず取り組んだのが、日本橋の歴史調査です。

日本橋は言うまでもなく江戸の中心地。徳川家康による江戸開府以降、日本全国の道路網の起点として発展し、多くの商人や職人たちが活躍した場所です。

しかし、単に有名な史跡を紹介するだけでは面白くありません。その場所にどんな人々がいて、どんな物語があり、現代へどのようにつながっているのか。そうした背景までお伝えできるツアーにしたいと考えました。

実際に現地へ足を運び、自分の足で歩きながらルートを確認。写真撮影を行いスライドも作成しました。

・歩くルートはどうするか。

・どこで立ち止まると説明しやすいか。

・どのエピソードを紹介すると参加者の皆さんに楽しんでいただけるか。

細かな部分まで考えながら準備を進めました。そしてイベント直前まで資料の修正を重ね、日本橋という街の歴史をさらに深掘りして当日を迎えました。

 

まさかの大雨

しかし、当日は天候が味方してくれませんでした。イベント開始前から激しい雨。予報を見ながら最後まで開催を検討しましたが、安全面を考慮し、残念ながら街歩きツアーは中止となりました。

準備を重ねてきただけに悔しい気持ちはありましたが、参加者の皆さんに楽しんでいただくことが最優先です。

そこで急遽内容を変更し、BARの店内でスライド資料を使いながら、日本橋ツアーを疑似体験していただく形になりました。

実際に歩くことはできませんでしたが

「ここが現在の日本橋です」

「この場所にはかつてこんな歴史がありました」

と写真や地図を交えながら解説を進めることで、結果として落ち着いて歴史を深掘りできる時間にもなりました。

 

日本橋の歴史を少しだけ紹介

当日は実際に歩くことはできませんでしたが、資料を使いながら日本橋の歴史をご紹介しました。日本橋は単なるオフィス街ではありません。徳川家康が江戸を日本一の都市へと発展させるために整備した町であり、今もその歴史の痕跡が数多く残っています。

今回のツアーでは、その中からいくつかの場所を巡る予定でした。

高島屋 ― 近江商人の信用が生んだ百貨店

現在、日本橋を代表する百貨店の一つである高島屋。その始まりは1831年、京都で開かれた古着・木綿商「高島屋」でした。

創業者の飯田新七は、近江商人である義父・飯田儀兵衛の跡を継ぎ、高島屋を開業します。当時は天保の改革へ向かう時代で、人々は贅沢を控え、古着の需要が高まっていました。

開店間もない頃、隣にも同じような店ができたそうですが、新七は価格競争ではなく信用で勝負します。

「誰よりも早く店を開ける」

「近所の掃除まで率先して行う」

そんな地道な努力を続けた結果、「あの店は働き者で信用できる」と評判になりました。現代では当たり前のように聞こえる企業理念ですが、その原点は約200年前の日本橋にありました。

この高島屋からは、現在の百貨店事業だけでなく、後の丸紅へとつながる商社事業も生まれていきます。

 

山本山 ― 江戸の飲料革命を起こした老舗

「上から読んでも山本山、下から読んでも山本山」

誰もが一度は聞いたことのある老舗ですが、実は日本のお茶文化を大きく変えた存在でもあります。

創業者の山本嘉兵衛は宇治のお茶を江戸の人々に広めたいという思いから、1690年に日本橋で店を開きました。当時の江戸は明暦の大火から復興を進めている真っ最中。全国から職人や商人が集まり、人口が急増していました。

そんな中で蕎麦や寿司、天ぷらといった江戸グルメが発展していきますが、山本山はその食文化を支える「飲み物」として煎茶を広めていきました。

さらに大きな転機となったのが、永谷宗円が開発した新しい煎茶です。

それまでのお茶は茶色く風味も弱いものでしたが、宗円の煎茶は鮮やかな緑色と豊かな香りを持つ画期的な商品でした。山本山はこれを「天下一」という名で販売し、大ヒットを記録します。

現代で言えば、大ヒット商品の販売権を獲得したようなものです。江戸の人々の暮らしを変えた飲料革命の舞台もまた、日本橋だったのです。

日本橋 ― 徳川家康が描いた国家プロジェクト

今回のツアーで最も重要な場所が、日本橋そのものです。豊臣秀吉による小田原征伐の後、関東へ移された徳川家康が目にした江戸は、まだ湿地帯が広がる発展途上の土地でした。

しかし家康はここに日本最大の都市を築こうと考えます。

目指したのは「全国から人と物が集まる物流と経済の中心地」です。その象徴として整備されたのが日本橋でした。

江戸城の東側には川や海が広がり、船による物流が発達していました。そこへ橋を架けることで、江戸城、商人町、港を結ぶ交通の要所を作り出したのです。

さらに日本橋は五街道の起点となりました。

東海道、中山道、甲州街道、日光街道、奥州街道。

全国へ伸びる主要道路の出発点として「日本橋から何里」という形で距離が測られました。まさに日本の中心です。

現在の橋に設置されている麒麟像は1911年に設置されたもので「東京の発展と日本の繁栄」を願って造られました。翼を広げ、空を見上げる姿は「東京が世界へ向かって飛躍する」という願いを表しているとも言われています。

 

日本橋魚河岸跡 ― 江戸の台所を支えた巨大市場

 

日本橋のたもとには、かつて日本最大の魚市場が存在していました。

魚河岸の始まりは、徳川家康に従って江戸へやってきた摂津国佃村(現在の大阪市西淀川区周辺)の漁民たちだと言われています。彼らは後に佃島へ移り住み、獲れた魚を江戸城へ献上し、その残りを日本橋で販売しました。

これが魚河岸の始まりです。

やがて全国各地から魚介類が船で集まるようになり、日本橋は巨大な市場へと成長します。マグロ、カツオ、タイ、アナゴ、イワシなど、あらゆる魚が取引され、寿司や天ぷらといった江戸の食文化を支えていました。

現在では豊洲市場が有名ですが、そのルーツを辿ると日本橋魚河岸へ行き着きます。関東大震災によって市場は築地へ移転しましたが、日本橋はまさに「江戸の台所」だったのです。

 

 

常盤橋門跡 ― 江戸城の正面玄関

現在は高層ビルが立ち並ぶ場所ですが、江戸時代には江戸城へ入る重要な出入口でした。

常盤橋門は奥州街道や日光街道へ通じる門であり、江戸五口と呼ばれる主要出入口の一つに数えられていました。実は江戸城の正面ルートは

常盤橋門 → 大手門 → 江戸城本丸

という構造になっています。つまり、多くの大名や役人たちはここを通って将軍のもとへ向かったのです。

また、門の前に架かる常磐橋は1877年に造られた石橋で、現在も使われている東京都内最古の石橋として知られています。

何気なく渡っている橋の下にも、江戸から明治、そして現代へと続く長い歴史が刻まれているのです。

 

大盛り上がりのクイズ大会

歴史解説の後は歓談タイム。参加者同士で歴史談義に花を咲かせながら、楽しい時間が流れていきました。

そしてイベント後半では、今回の目玉企画の一つである歴史クイズ大会を開催。問題はお話しした日本橋ツアーの内容をもとに作成しました。

「ちゃんと話を聞いていないと分からない」

しかし

「聞いていれば答えられる」

そんな絶妙な難易度を目指して作った問題です。

さらに全問正解者には、齊藤さんが制作された南北朝グッズをプレゼント。これが予想以上の盛り上がりとなりました。

正解発表のたびに歓声が上がり

「それ覚えてない!」

「そうだった!」

と会場全体が一体感に包まれました。歴史は勉強ではなくエンターテインメントでもある。改めてそう感じる瞬間でした。

そして気が付けば時刻は23時。あっという間の5時間でした。

 

歴史を未来へつなぐために

今回、初めての1日歴史店長という貴重な機会をいただきました。

まずは会場を提供し、温かく迎えてくださったフラペンの皆さま。そして今回のご縁をつないでくださり、一緒に企画を進めてくださった齊藤太一さん。本当にありがとうございました。

そして何より、いつも歴史会に参加してくださる会員の皆さま。皆さまがいるからこそ、このような活動を続けることができています。心より感謝申し上げます。

徳川家康が築いた日本橋。

そこには江戸時代の商人たちの知恵があり、町人文化があり、職人たちの技術がありました。現代の街並みの中にも、その痕跡は数多く残されています。普段何気なく歩いている道にも、数百年前の人々の想いが眠っています。

歴史は教科書の中だけにあるものではありません。私たちが暮らす街の中にあり、日常の中にあり、未来へ受け継いでいくべき大切な財産です。

そうした歴史を一人でも多くの方に伝え、次の世代へつないでいくこと。それが歴史会の役割の一つだと思っています。

これからも全国各地の歴史を訪ね、人々と出会い、歴史の魅力を発信し続けていきます。ご参加いただいた皆さま、本当にありがとうございました。

 

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歴史会講師 井坂陽一

記事の執筆者:

歴史会講師 井坂陽一
歴史会主催 / 講師 
SISeI合同会社 代表

ベーシストとしてロサンゼルスに留学。その後、音楽専門学校講師やREC、LIVEなど音楽活動を続けるが、一転してSISel合同会社を設立。
企業のPVやMVを中心に動画を制作し、中長期的プロモーションの戦略を提案するクリエイティブコンサルタントも行う。
2021年に一般社団法人寺子屋経営塾を新たに立ち上げ「徳ある経営の実践」をテーマに代表理事として運営。歴史やDX、SNSなど、全国でセミナー講師としても活動中。

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