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千年続く「生きた歴史」を体感する ― 相馬野馬追に行ってきました

2026年05月25日

カテゴリー:その他

千年続く「生きた歴史」を体感する ― 相馬野馬追に行ってきました

歴史会の仲間たちと共に、福島県南相馬市で開催された相馬野馬追を訪れました。実際に現地で体感したからこそ分かった祭りの迫力や、千年以上受け継がれてきた伝統文化の価値についてお伝えします。相馬野馬追の見どころとともに、歴史を現地で学ぶ意義や文化継承への思いをぜひご覧ください。

歴史会会員さんと共に福島県南相馬市へ

5月24日、歴史会の仲間たちと共に福島県南相馬市で開催される「相馬野馬追」へ行ってきました。

以前から一度は見てみたいと思っていた祭りでしたが、実際に現地で体感してみると、その迫力や空気感は想像をはるかに超えるものでした。

映像や写真では何度も見てきましたし、歴史好きとして相馬野馬追の存在はもちろん知っていました。しかし、現地で感じる音、匂い、熱気、人々の想いは、どれだけ映像技術が進歩しても伝わらないものがあります。

今回改めて感じたのは「歴史は現地へ行かなければ分からない」ということでした。

南相馬市は東京からでも距離はありますが、祭り当日の朝に出発していては間に合いません。相馬野馬追は全国から多くの人が集まる祭りです。そのため前日の夜から車で福島県へ向かいました。夜の高速道路を走りながら、「明日はどんな景色が見られるのだろう」と期待に胸を膨らませていました。

そして当日の朝。

かなり早い時間に現地へ到着したのですが、すでに多くの人が動き始めていました。朝7時台には駐車場も埋まり始め、人の流れができています。私たちから見れば早朝ですが、地元の方々や参加者の皆さんにとっては、すでに祭りは始まっているのです。

この時点で、相馬野馬追が単なる観光イベントではなく、地域全体で守り続けている大切な文化であることを感じました。

 

千年以上続く相馬野馬追とは

相馬野馬追は、およそ千年以上の歴史を持つと伝えられています。

その起源は平安時代まで遡るともいわれ、相馬氏の祖とされる平将門が、野馬を敵兵に見立てて軍事訓練を行ったことが始まりと伝承されています。

もちろん伝承には諸説ありますが、少なくとも長い歴史の中で武士文化を色濃く残しながら受け継がれてきた祭りであることは間違いありません。

戦国時代が終わり、江戸時代となり、明治維新によって武士という身分そのものが消滅しました。さらに戦争や災害、社会の変化を経てもなお、この祭りは続いてきました。

東日本大震災

東日本大震災の際には大きな被害を受けながらも、多くの関係者の努力によって復活を果たしています。そう考えると、私たちが目の前で見ている祭りは単なるイベントではありません。

歴史そのものが現代まで生き続けている姿なのだと思います。

 

5月開催になった理由

実は相馬野馬追は、以前は7月に開催されていました。しかし近年の猛暑の影響は深刻です。甲冑を身につけた状態で馬に乗り、長時間行事を行うことは、参加者だけでなく馬にとっても大きな負担となります。

近年の夏の暑さは、昔とは比べものになりません。そのため祭りを安全に継続していくため、開催時期が7月から5月へ変更されました。

伝統文化というと「昔のまま守ること」が大切だと思われがちです。しかし本当に文化を守るためには、時代に合わせて変化することも必要なのだと感じました。

変わらないために変わる。これは多くの伝統文化に共通する課題なのかもしれません。

 

武者たちの誇りを感じた「お行列」

お行列では、騎馬武者たちが堂々と進んでいきます。そしてそれぞれが名乗りを上げる姿に目を奪われました。その声は力強く、自信に満ちています。

戦国武将たちも、きっとこのように自らの名を名乗り、戦場へ向かったのでしょう。

現代社会では、自分の家名や先祖を意識する機会は多くありません。しかし相馬野馬追では、何百年も続く家の歴史や地域とのつながりが今も生きています。そこには確かに武士の誇りがありました。

 

子どもたちが当たり前のように馬に乗る

そして驚いたのは子どもたちの姿です。5歳ほどの小さな子どもが甲冑姿で馬に乗っています。最初は「大丈夫なのか」と思うほどでした。しかし周囲の大人たちも、それを特別なこととして見ていません。

この地域では、幼い頃から馬と共に生き、伝統を受け継いでいくことが自然なことなのです。文化は建物や資料だけでは残りません。人から人へ伝わることで初めて残ります。

その姿を見て、相馬野馬追が千年以上続いてきた理由が少し分かった気がしました。

 

迫力満点の「甲冑競馬」

甲冑競馬は圧巻でした。騎馬武者たちが一斉に駆け出すと、土煙が舞い上がり、馬の蹄の音が響き渡り、地面が揺れるような感覚さえありました。テレビや動画で見るのとは全く違います。

目の前を全力で駆け抜ける馬のスピード。甲冑をまといながら巧みに馬を操る技術。そして騎馬武者たちの気迫。

まさに戦国時代の軍勢を見ているかのようでした。

 

神旗争奪戦はまさに「生きた歴史」

そして最大の見どころともいえる神旗争奪戦。空高く打ち上げられた花火から御神旗が落ちてくると、騎馬武者たちが一斉に奪い合います。

競技でありながら神事でもある。祭りでありながら軍事訓練の面影も残している。その独特な空気は、他の祭りではなかなか味わえません。

私には「祭りを見ている」というより「生きた歴史を目撃している」という感覚の方が強くありました。

 

事故があったからこそ考えたこと

今年は残念ながら事故も発生しました。その後、主催者側は記者会見を開き、状況説明や今後の対応について発表しています。

馬と人が関わる行事である以上、リスクをゼロにすることはできません。しかし事故が起きたから終わりではなく、どう改善し、どう未来へつないでいくかが重要なのだと思います。

馬を育てること。

甲冑や装束を維持すること。

担い手を育てること。

安全対策を考えること。

地域の理解を得ること。

どれ一つ取っても簡単ではありません。伝統を残すというのは、ただ昔の形を守ることではなく、絶え間ない努力を続けることなのだと改めて感じました。

 

歴史会としてできること

今回の相馬野馬追を通じて、改めて感じたことがあります。

歴史は本や動画でも学べます。私自身も多くの文献を読み、講演や歴史会でお話ししています。しかし現地へ行き、空気を感じ、人と出会い、実際に体験することでしか得られない学びがあります。

「和文化を守る」ということは、単に知識として残すことではありません。体験し、その価値を理解し、次の世代へ伝えていくことです。

歴史会でも、これからさらに現地を訪れる活動を増やしていきたいと思います。

史跡を歩き、文化に触れ、地域の方々のお話を聞く。そしてそこで得た感動や学びを、多くの人へ伝えていく。それもまた、文化継承の一つの形ではないでしょうか。

相馬野馬追は、千年以上続く日本の宝です。今回その現場に立てたことを心から嬉しく思います。そしてこの素晴らしい文化が、100年後、200年後、その先の未来にも受け継がれていくことを願っています。

私たち歴史会も、微力ながら日本の歴史や和文化の魅力を伝える活動を続けていきたいと思います。

 

 

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歴史会講師 井坂陽一

記事の執筆者:

歴史会講師 井坂陽一
歴史会主催 / 講師 
SISeI合同会社 代表

ベーシストとしてロサンゼルスに留学。その後、音楽専門学校講師やREC、LIVEなど音楽活動を続けるが、一転してSISel合同会社を設立。
企業のPVやMVを中心に動画を制作し、中長期的プロモーションの戦略を提案するクリエイティブコンサルタントも行う。
2021年に一般社団法人寺子屋経営塾を新たに立ち上げ「徳ある経営の実践」をテーマに代表理事として運営。歴史やDX、SNSなど、全国でセミナー講師としても活動中。

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